瀬村尚央 政策コラム Vol.18

「帰ってきたい」と思える岩国へ

帰ってくることが、ゴールではありません。

大切なのは、その先です。

働ける。暮らせる。人とつながれる。経験を活かせる。

そして、「ここでやってみたい」と思える。

若い人を岩国に縛るのではなく、人生の選択肢の中に、何度でも「岩国」が現れるまちへ。

瀬村尚央第3章挑戦する人への投資約6分
目次

「帰ってきた」で、終わりにしない。

第3章では、「挑戦する人への投資」について考えてきました。若者のUターン。地域企業。働くこと。起業。新しい挑戦。

一見すると、それぞれ別の政策に見えるかもしれません。でも私は、すべてつながっていると考えています。

例えば、外で経験を積んだ若者が岩国へ帰ってくる。地域企業で働く。そこで新しい仕事に挑戦する。あるいは、自分で新しい事業を始める。

その挑戦から、新しいサービスや仕事が生まれる。それによって、次の若い人にとっての新しい選択肢が生まれる。

「帰ってきてもらう」だけではなく、帰ってきた人も、今いる人も、ここで未来をつくれる。そこまで考えて初めて、「挑戦する人への投資」になると思っています。

「帰ってくること」を、ゴールにしない。「ここで未来をつくれること」を、目指す。

移住・Uターンのその先にある、仕事。暮らし。人とのつながり。そして挑戦まで考える。

人が帰る理由は、一つではありません。

地元に家族がいる。友人がいる。子育てをしたい。自然の近くで暮らしたい。地元で仕事をしたい。地域に貢献したい。新しいことに挑戦したい。帰ってくる理由は、一人ひとり違います。

だから、一つの支援制度だけで「若者が帰ってくるまち」をつくることはできません。仕事だけでもない。住まいだけでもない。子育てだけでもない。地域とのつながりだけでもない。一人の人生から見れば、すべてがつながっています。

行政の政策は、担当する部署ごとに分かれます。しかし、市民の人生は部署ごとに分かれているわけではありません。

だからこそ、政策を「制度」から見るだけではなく、「人の人生」から見ることが必要だと考えています。

図解でわかる人が帰り、挑戦が生まれ、次の選択肢になる。岩国の中だけで完結しない、「挑戦の循環」。
IWAKUNI

岩国地域外人も、仕事も、経験も、行き来できる。

  1. 1外へ出る
    • 進学
    • 就職
    • 挑戦
  2. 2経験を積む
    • 知識
    • 技術
    • 人との出会い
  3. 3岩国とつながる
    • 帰る
    • 働く
    • 関わる
  4. 4岩国で挑戦する
    • 地域企業
    • 新事業
    • 起業
    • 地域活動
  5. 5新しい選択肢が生まれる
    • 仕事
    • サービス
    • つながり
    • 次の挑戦

次の世代へ

人を囲い込むのではなく、挑戦が循環する岩国へ。

外へ出ることも、岩国の未来につながる。

私は、若い人に「岩国から出ないでほしい」とは思っていません。進学する。都会で働く。海外へ行く。さまざまな人に出会う。新しい価値観を知る。技術を身につける。そうした経験には、大きな意味があります。

大切なのは、外へ出た瞬間に、岩国との関係がゼロになってしまわないことです。

外で働きながら、岩国の企業と仕事をすることもできる。地域の活動に関わることもできる。地元の人を応援することもできる。そして、人生のどこかで「岩国へ帰ろう」と思うこともある。

外へ出ることと、岩国を大切にすることは、反対ではありません。

「出る」か「残る」か、二択にしない。
  • 岩国で暮らす
  • 外で経験する
  • 外から岩国に関わる
  • 岩国へ帰る

岩国とのつながり

人生のどこにいても、地域との関わり方を選べる。

「帰りたい」と思った時に、仕事があるか。

ただ、気持ちだけでは帰ることはできません。これはVol.13でもお伝えしました。生活するためには、仕事が必要です。そして、単に求人があるだけではなく、「ここで働きたい」と思える仕事や企業が必要です。

だから、地域企業を強くする。人材を育てる。働き方を良くする。企業の魅力を伝える。新しい事業を生み出す。起業できる環境をつくる。

こうした政策は、それぞれ独立しているわけではありません。すべて、「岩国で未来をつくれるか」という問いにつながっています。

「帰れる」を支えるのは、一つの政策ではない。
岩国で未来をつくる

一人の暮らしを支える政策

  • 地域企業
  • 仕事
  • 人材育成
  • 起業
  • 住まい
  • 子育て
  • 地域とのつながり
  • 挑戦できる環境

制度を並べるのではなく、一人の暮らしからつなげて考える。

帰ってきた「後」が、一番大切です。

移住政策では、何人が転入したのか。何人がUターンしたのか。という数字に注目しがちです。もちろん、状況を把握する上で人数を見ることも必要です。

しかし、私はその先も重要だと考えています。帰ってきた人が、仕事を続けられているのか。地域とつながれているのか。暮らしに困っていないのか。経験を活かせているのか。新しいことに挑戦できているのか。そして、「帰ってきてよかった」と思えているのか。

転入した瞬間ではなく、その後の暮らしまで見る。これは、移住政策にも必要な視点だと思っています。

「何人帰ってきたか」から、「帰った後、どう暮らしているか」へ。

人数だけではなく、仕事。暮らし。つながり。挑戦。まで見る。

支援制度は、「入口」です。

岩国市にも現在、一定の要件を満たす移住者を対象にした就業・創業等の支援制度があります。こうした制度は、移住を考える人の負担を軽減する一つの手段です。

一方で、制度があること自体を政策のゴールにしてはいけません。支援金があるから、長く暮らしたいまちになるわけではない。制度を利用したから、働きたい仕事が生まれるわけでもない。

だからこそ、支援制度を「入口」としながら、その先にある仕事。暮らし。地域とのつながり。子育て。挑戦。まで考える必要があります。

支援制度は、ゴールではなく「入口」。
移住・就業・創業支援入口
  • 仕事
  • 暮らし
  • 人とのつながり
  • 挑戦
「ここで暮らしていきたい」

※制度には対象要件があります。

岩国には、「外」とつながれる強みもある。

これからの地域は、すべてを地域の中だけで完結させる必要はないと思っています。外の企業と仕事をする。外から人が来る。外で働きながら岩国で暮らす。地域企業が、全国や海外と仕事をする。外で得た経験を、岩国で活かす。

大切なのは、「地域の中に閉じること」ではありません。外とつながりながら、人。仕事。技術。アイデア。が行き来する。

そして、そのつながりから岩国にも新しい価値が生まれる。そんな地域を目指すことだと考えています。

地域を守ることと、地域を閉じることは違う。
岩国

岩国 ↔ 地域外

  • 仕事
  • 技術
  • アイデア

外とつながり、岩国の可能性を広げる。

行政が、人の人生を決めるわけではありません。

行政が、「岩国に残ってください」「岩国へ帰ってきてください」「起業してください」と、人の人生を決めることはできません。それぞれに、それぞれの人生があります。

行政ができるのは、選択肢を増やすことです。岩国で働くという選択肢。岩国へ帰るという選択肢。岩国で起業するという選択肢。外にいながら岩国と関わるという選択肢。子育てを岩国でするという選択肢。そして、新しいことに挑戦するという選択肢。

一人ひとりが、自分の人生を自分で選べる。その中に、「岩国」という選択肢がある。私は、それが大切だと考えています。

第3章で伝えたかったこと。

第3章「挑戦する人への投資」で、考えてきたこと。
  • 01Vol.13

    帰る

    「帰りたい」を「帰れる」に。

  • 02Vol.14

    挑戦

    一人の「やってみよう」を地域の価値へ。

  • 03Vol.15

    企業

    企業の成長を、人と暮らしへ。

  • 04Vol.16

    働く

    「仕事がある」から「ここで働きたい」へ。

  • 05Vol.17

    起業

    地域の「ない」を新しい「ある」へ。

  • 06Vol.18

    循環

    人が帰り、挑戦が次の選択肢になる。

挑戦する人への投資とは、特定の誰かを優遇することではありません。

一人ひとりの挑戦から生まれた価値を、地域の仕事。サービス。人材。そして、次の世代の選択肢へつなげていくことです。

私が目指す岩国

岩国で育つ。外へ出る。学ぶ。働く。いろいろな人に出会う。そして、ある日、「岩国に帰ろうかな」と思う。

その時に、働きたい会社がある。やってみたい仕事がある。暮らせる環境がある。相談できる人がいる。新しいことに挑戦できる。あるいは、すぐには帰らなくても、外にいながら岩国と関わることができる。

そして、帰ってきた人や、今ここにいる人の挑戦から、新しい仕事やサービスが生まれる。それが、また次の世代の選択肢になる。私は、そんな循環をつくりたいと考えています。

若者を岩国に縛るのではありません。起業することを求めるのでもありません。全員に挑戦を求めるのでもありません。

大切なのは、「やってみたい」と思った時に、岩国でもその可能性を追いかけられること。そして、どこへ行っても、人生のどこかで「岩国」を選択肢にできること。

「帰ってきてください」と言うだけのまちから、「帰ってきたい」と思えるまちへ。私は、挑戦する人への投資を通じて、そんな岩国を目指していきます。

今回のポイント

  • 「帰ってくること」を政策のゴールにしない
  • 帰った後の仕事・暮らし・つながり・挑戦まで考える
  • 外へ出ることと、岩国とのつながりを持つことは両立できる
  • 地域企業、雇用、起業、移住を別々ではなく一人の人生からつなげる
  • 行政が人生を決めるのではなく、一人ひとりの選択肢を増やす

「『帰ってきてください』と言うだけのまちから、『帰ってきたい』と思えるまちへ。」

残る。出る。帰る。関わる。挑戦する。人生のどこにいても、選択肢の中に「岩国」があるまちへ。

執筆

瀬村 尚央(せむら ひさお)

岩国市議会議員

CHAPTER 3 COMPLETE

挑戦する人への投資

帰る人も。今いる人も。外から関わる人も。新しいことを始める人も。

一人ひとりの挑戦が、岩国の新しい仕事やサービス、そして次の世代の選択肢につながっていく。

第3章を最初から読む

第4章 地域への投資

Vol.19

道路は、暮らしを支えるインフラ

道路は、ただ車が走るためだけのものではありません。通勤。通学。買い物。救急。物流。災害対応。私たちの毎日の暮らしは、道路によってつながっています。次回は、「道路整備」を単なる工事ではなく、暮らしと地域の未来という視点から考えます。

第4章を読む

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