目次
「帰ってきた」で、終わりにしない。
第3章では、「挑戦する人への投資」について考えてきました。若者のUターン。地域企業。働くこと。起業。新しい挑戦。
一見すると、それぞれ別の政策に見えるかもしれません。でも私は、すべてつながっていると考えています。
例えば、外で経験を積んだ若者が岩国へ帰ってくる。地域企業で働く。そこで新しい仕事に挑戦する。あるいは、自分で新しい事業を始める。
その挑戦から、新しいサービスや仕事が生まれる。それによって、次の若い人にとっての新しい選択肢が生まれる。
「帰ってきてもらう」だけではなく、帰ってきた人も、今いる人も、ここで未来をつくれる。そこまで考えて初めて、「挑戦する人への投資」になると思っています。
「帰ってくること」を、ゴールにしない。「ここで未来をつくれること」を、目指す。
移住・Uターンのその先にある、仕事。暮らし。人とのつながり。そして挑戦まで考える。
人が帰る理由は、一つではありません。
地元に家族がいる。友人がいる。子育てをしたい。自然の近くで暮らしたい。地元で仕事をしたい。地域に貢献したい。新しいことに挑戦したい。帰ってくる理由は、一人ひとり違います。
だから、一つの支援制度だけで「若者が帰ってくるまち」をつくることはできません。仕事だけでもない。住まいだけでもない。子育てだけでもない。地域とのつながりだけでもない。一人の人生から見れば、すべてがつながっています。
行政の政策は、担当する部署ごとに分かれます。しかし、市民の人生は部署ごとに分かれているわけではありません。
だからこそ、政策を「制度」から見るだけではなく、「人の人生」から見ることが必要だと考えています。
岩国 ↔ 地域外:人も、仕事も、経験も、行き来できる。
- 1外へ出る
- 進学
- 就職
- 挑戦
- 2経験を積む
- 知識
- 技術
- 人との出会い
- 3岩国とつながる
- 帰る
- 働く
- 関わる
- 4岩国で挑戦する
- 地域企業
- 新事業
- 起業
- 地域活動
- 5新しい選択肢が生まれる
- 仕事
- サービス
- つながり
- 次の挑戦
次の世代へ
人を囲い込むのではなく、挑戦が循環する岩国へ。
外へ出ることも、岩国の未来につながる。
私は、若い人に「岩国から出ないでほしい」とは思っていません。進学する。都会で働く。海外へ行く。さまざまな人に出会う。新しい価値観を知る。技術を身につける。そうした経験には、大きな意味があります。
大切なのは、外へ出た瞬間に、岩国との関係がゼロになってしまわないことです。
外で働きながら、岩国の企業と仕事をすることもできる。地域の活動に関わることもできる。地元の人を応援することもできる。そして、人生のどこかで「岩国へ帰ろう」と思うこともある。
外へ出ることと、岩国を大切にすることは、反対ではありません。
- 岩国で暮らす
- 外で経験する
- 外から岩国に関わる
- 岩国へ帰る
岩国とのつながり
人生のどこにいても、地域との関わり方を選べる。
「帰りたい」と思った時に、仕事があるか。
ただ、気持ちだけでは帰ることはできません。これはVol.13でもお伝えしました。生活するためには、仕事が必要です。そして、単に求人があるだけではなく、「ここで働きたい」と思える仕事や企業が必要です。
だから、地域企業を強くする。人材を育てる。働き方を良くする。企業の魅力を伝える。新しい事業を生み出す。起業できる環境をつくる。
こうした政策は、それぞれ独立しているわけではありません。すべて、「岩国で未来をつくれるか」という問いにつながっています。
一人の暮らしを支える政策
- 地域企業
- 仕事
- 人材育成
- 起業
- 住まい
- 子育て
- 地域とのつながり
- 挑戦できる環境
制度を並べるのではなく、一人の暮らしからつなげて考える。
帰ってきた「後」が、一番大切です。
移住政策では、何人が転入したのか。何人がUターンしたのか。という数字に注目しがちです。もちろん、状況を把握する上で人数を見ることも必要です。
しかし、私はその先も重要だと考えています。帰ってきた人が、仕事を続けられているのか。地域とつながれているのか。暮らしに困っていないのか。経験を活かせているのか。新しいことに挑戦できているのか。そして、「帰ってきてよかった」と思えているのか。
転入した瞬間ではなく、その後の暮らしまで見る。これは、移住政策にも必要な視点だと思っています。
「何人帰ってきたか」から、「帰った後、どう暮らしているか」へ。
人数だけではなく、仕事。暮らし。つながり。挑戦。まで見る。
支援制度は、「入口」です。
岩国市にも現在、一定の要件を満たす移住者を対象にした就業・創業等の支援制度があります。こうした制度は、移住を考える人の負担を軽減する一つの手段です。
一方で、制度があること自体を政策のゴールにしてはいけません。支援金があるから、長く暮らしたいまちになるわけではない。制度を利用したから、働きたい仕事が生まれるわけでもない。
だからこそ、支援制度を「入口」としながら、その先にある仕事。暮らし。地域とのつながり。子育て。挑戦。まで考える必要があります。
- 仕事
- 暮らし
- 人とのつながり
- 挑戦
※制度には対象要件があります。
岩国には、「外」とつながれる強みもある。
これからの地域は、すべてを地域の中だけで完結させる必要はないと思っています。外の企業と仕事をする。外から人が来る。外で働きながら岩国で暮らす。地域企業が、全国や海外と仕事をする。外で得た経験を、岩国で活かす。
大切なのは、「地域の中に閉じること」ではありません。外とつながりながら、人。仕事。技術。アイデア。が行き来する。
そして、そのつながりから岩国にも新しい価値が生まれる。そんな地域を目指すことだと考えています。
岩国 ↔ 地域外
- 人
- 仕事
- 技術
- アイデア
外とつながり、岩国の可能性を広げる。
行政が、人の人生を決めるわけではありません。
行政が、「岩国に残ってください」「岩国へ帰ってきてください」「起業してください」と、人の人生を決めることはできません。それぞれに、それぞれの人生があります。
行政ができるのは、選択肢を増やすことです。岩国で働くという選択肢。岩国へ帰るという選択肢。岩国で起業するという選択肢。外にいながら岩国と関わるという選択肢。子育てを岩国でするという選択肢。そして、新しいことに挑戦するという選択肢。
一人ひとりが、自分の人生を自分で選べる。その中に、「岩国」という選択肢がある。私は、それが大切だと考えています。
第3章で伝えたかったこと。
- 01Vol.13
帰る
「帰りたい」を「帰れる」に。
- 02Vol.14
挑戦
一人の「やってみよう」を地域の価値へ。
- 03Vol.15
企業
企業の成長を、人と暮らしへ。
- 04Vol.16
働く
「仕事がある」から「ここで働きたい」へ。
- 05Vol.17
起業
地域の「ない」を新しい「ある」へ。
- 06Vol.18
循環
人が帰り、挑戦が次の選択肢になる。
挑戦する人への投資とは、特定の誰かを優遇することではありません。
一人ひとりの挑戦から生まれた価値を、地域の仕事。サービス。人材。そして、次の世代の選択肢へつなげていくことです。
私が目指す岩国
岩国で育つ。外へ出る。学ぶ。働く。いろいろな人に出会う。そして、ある日、「岩国に帰ろうかな」と思う。
その時に、働きたい会社がある。やってみたい仕事がある。暮らせる環境がある。相談できる人がいる。新しいことに挑戦できる。あるいは、すぐには帰らなくても、外にいながら岩国と関わることができる。
そして、帰ってきた人や、今ここにいる人の挑戦から、新しい仕事やサービスが生まれる。それが、また次の世代の選択肢になる。私は、そんな循環をつくりたいと考えています。
若者を岩国に縛るのではありません。起業することを求めるのでもありません。全員に挑戦を求めるのでもありません。
大切なのは、「やってみたい」と思った時に、岩国でもその可能性を追いかけられること。そして、どこへ行っても、人生のどこかで「岩国」を選択肢にできること。
「帰ってきてください」と言うだけのまちから、「帰ってきたい」と思えるまちへ。私は、挑戦する人への投資を通じて、そんな岩国を目指していきます。
今回のポイント
- 「帰ってくること」を政策のゴールにしない
- 帰った後の仕事・暮らし・つながり・挑戦まで考える
- 外へ出ることと、岩国とのつながりを持つことは両立できる
- 地域企業、雇用、起業、移住を別々ではなく一人の人生からつなげる
- 行政が人生を決めるのではなく、一人ひとりの選択肢を増やす
「『帰ってきてください』と言うだけのまちから、『帰ってきたい』と思えるまちへ。」
残る。出る。帰る。関わる。挑戦する。人生のどこにいても、選択肢の中に「岩国」があるまちへ。
執筆
瀬村 尚央(せむら ひさお)
岩国市議会議員
CHAPTER 3 COMPLETE
挑戦する人への投資
帰る人も。今いる人も。外から関わる人も。新しいことを始める人も。
一人ひとりの挑戦が、岩国の新しい仕事やサービス、そして次の世代の選択肢につながっていく。
第4章 地域への投資
Vol.19
道路は、暮らしを支えるインフラ
道路は、ただ車が走るためだけのものではありません。通勤。通学。買い物。救急。物流。災害対応。私たちの毎日の暮らしは、道路によってつながっています。次回は、「道路整備」を単なる工事ではなく、暮らしと地域の未来という視点から考えます。
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