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道路の先には、誰かの暮らしがあります。
道路について議論すると、どうしても「何メートル整備するのか」「どこを舗装するのか」「いくらかかるのか」という話になりがちです。
もちろん、それらも重要です。しかし、道路そのものが目的ではありません。
その道路を使って、子どもが学校へ行く。働く人が会社へ行く。高齢者が病院へ行く。商品が店へ届く。救急車や消防車が現場へ向かう。道路の先には、必ず誰かの暮らしがあります。
だからこそ私は、道路整備を「工事の話」だけで終わらせず、「暮らしをどう支えるのか」という視点から考えることが大切だと思っています。
道路を整備することが、目的ではない。その先にある「暮らし」を守ることが目的です。
通勤。通学。買い物。通院。物流。救急。防災。一本の道路が、さまざまな暮らしを支えています。
一本の道路には、いくつもの役割がある。
普段は、毎日何気なく通っている道路。しかし、少し視点を変えると、いくつもの役割を持っていることが分かります。
朝は、子どもたちの通学路。昼は、仕事や買い物へ向かう道。地域企業にとっては、商品や資材を運ぶ物流の道。高齢者にとっては、病院や生活サービスへつながる道。そして、災害や事故が起きた時には、救急車や消防車、避難や復旧活動を支える道になります。
つまり、道路政策は、建設分野だけの政策ではありません。教育。福祉。経済。防災。子育て。地域づくり。さまざまな政策とつながっています。
通学
子どもが安全に学校へ
通勤
働く場所へつながる
通院
医療へつながる
物流
商品や資材を届ける
救急・消防
命を守るルート
防災
避難・復旧を支える
暮らしがつながる
「新しくつくる」だけが、道路政策ではありません。
道路政策というと、新しい道路をつくることを思い浮かべるかもしれません。しかし、これから重要になるのは、今ある道路をどう安全に使い続けるのか、という視点です。
舗装。側溝。橋。ガードレール。カーブミラー。道路照明。区画線。歩道。こうしたものも、時間とともに劣化していきます。そして、道路や橋を一度つくれば、その後も維持管理が必要になります。
人口が減少し、財源にも限りがある中で、すべてを同じように更新していくことは簡単ではありません。だからこそ、「つくる」だけではなく、「守る」「直す」「長く使う」という視点が、これまで以上に重要になります。
- つくる
- 守る
- 直す
- 長く使う
暮らしを支え続ける
すべてを一度には、できません。
道路について、地域からさまざまな要望をいただきます。道路を広げてほしい。舗装を直してほしい。歩道をつくってほしい。危険な交差点を改善してほしい。カーブミラーを設置してほしい。水がたまらないようにしてほしい。
どれも、実際の暮らしの中から出てくる大切な声です。一方で、予算にも、人にも、時間にも限りがあります。だから、要望があった順にすべて実施する、というわけにはいきません。そこで必要なのが、優先順位です。
4つのレンズで見る
01安全性
事故や危険の可能性は高いか
02緊急性
今すぐ対応する必要があるか
03利用・影響
どれだけ暮らしに影響するか
04将来性
今後も必要な基盤か
「声が大きい順」ではなく、必要性と効果から考える。
「声が大きい人」だけの道路にしない。
地域の要望を聞くことは、非常に重要です。現場で暮らしている人だからこそ、行政では気づきにくい危険や不便を知っていることがあります。私自身も、地域を歩き、さまざまな道路や生活環境について相談を受けてきました。だからこそ、現場の声は大切にしたいと思っています。
一方で、声を上げられる人だけが有利になる仕組みにしてはいけません。声が届いていない場所にも、危険はあるかもしれない。子ども。高齢者。障害のある方。車を運転しない人。さまざまな立場から、道路を見る必要があります。
私自身、地域の道路課題と向き合ってきました。
市議会議員として活動する中で、道路に関する相談は、地域からいただく声の中でも身近なものの一つです。
危険な場所。見通しの悪い場所。通学路。水がたまりやすい場所。カーブミラー。転落防止。交通量による混雑。一つひとつを見ると、小さな課題に見えるかもしれません。しかし、そこで暮らしている人にとっては、毎日の生活に関わる問題です。
私自身、現場へ行き、地域の方から話を聞き、行政と協議することを大切にしてきました。そこで感じるのは、道路の課題は、図面だけでは分からないことが多い、ということです。実際に歩く。車で通る。時間帯を変えて見る。地域の人から聞く。そうして初めて、見えてくる課題があります。
道路は、「安全」だけでもありません。
道路政策で最も重要な視点の一つは、もちろん安全です。しかし、道路にはもう一つ、「地域をつなぐ」という役割があります。
例えば、工業団地と幹線道路がスムーズにつながる。地域と市街地がつながる。住宅地から学校や病院へ行きやすくなる。物流が動きやすくなる。こうした道路ネットワークは、地域経済や暮らしにも影響します。
つまり、道路は「危険だから直す」だけではなく、地域の将来を考える上でも重要な基盤です。
暮らしを守る
- 安全
- 通学
- 救急
- 防災
地域をつなぐ
- 通勤
- 物流
- 地域間移動
- 経済活動
「安全」+「つながり」から考える。
子どもの目線で見ると、道路の意味が変わる。
Vol.12では、「まち全体を、子どもたちの学びの場へ」という考え方をお伝えしました。その中でも触れたように、通学路は、子どもたちが毎日使う大切な生活空間です。
大人にとっては、何でもない交差点でも、子どもの身長から見ると車が見えにくいかもしれない。歩道が狭い。車の速度が速い。雨の日に水がたまる。暗い時間帯に見えにくい。
道路を見る時には、「車が通れるか」だけではなく、「誰が使うのか」という視点が重要です。
- 子ども
- 高齢者
- ドライバー
- 歩行者・自転車
誰にとっても使いやすい道路へ
一つの視点ではなく、複数の立場から優先順位を考える。
道路にも、「予防」の考え方を。
道路や橋は、壊れてから直せばいい、というものではありません。大きく傷んでから対応すれば、工事が大きくなり、費用や通行への影響も大きくなる可能性があります。
だから、点検する。状態を把握する。必要な補修をする。計画的に更新する。という「予防」の視点も重要です。これは、財政を考える上でも大切な考え方です。
目の前の修繕だけでなく、10年後。20年後。誰が、どのように維持していくのか。そこまで考えて、インフラに責任を持つ必要があります。
- 1点検
- 2補修
- 3長く使う
- 4計画的な更新
10年後、20年後にも使い続けられるインフラへ。
道路整備にも、「成果」を見る。
道路工事が完成した。それだけで、政策の評価を終わらせてはいけません。危険は減ったのか。歩きやすくなったのか。渋滞は改善したのか。救急や物流は動きやすくなったのか。地域の暮らしはどう変わったのか。
もちろん、すべての道路整備を一つの数字だけで評価することはできません。それでも、「工事をした」から、「暮らしがどう変わったか」へ。道路政策にも、成果を見る視点が必要だと考えています。
「工事が終わった」で終わらせない
- 安全
- 移動
- 暮らし
- 地域への効果
「何をつくったか」から、「何が良くなったか」へ。
私が目指す岩国
道路は、目立つ政策ではないかもしれません。毎日使えて当たり前。安全に通れて当たり前。そんな存在です。でも、その「当たり前」がなくなれば、暮らしは大きく変わります。
だからこそ、新しいものをつくるだけではなく、今ある道路を守る。危険な場所を改善する。必要な場所には投資する。そして、限られた財源の中で、優先順位を考える。地域の声を聞きながら、現場を見て、客観的な視点も持って判断する。私は、そんな道路政策が必要だと考えています。
道路をつくることが目的ではありません。子どもが安全に学校へ行ける。働く人が仕事へ行ける。高齢者が病院へ行ける。商品が届く。救急車が走れる。災害時にも地域がつながる。そんな「当たり前の暮らし」を支え続けること。それが、道路への投資だと考えています。
今回のポイント
- 道路は、通勤・通学・医療・物流・救急・防災など暮らしを支える基盤
- 道路政策は「新しくつくる」だけでなく、維持・補修・長寿命化も重要
- 限られた財源の中では、安全性・緊急性・影響・将来性から優先順位を考える
- 地域の声と、現場確認・客観的な視点の両方を大切にする
- 「何を工事したか」ではなく「暮らしがどう良くなったか」まで見る
「道路をつくることが、目的ではない。その先にある『当たり前の暮らし』を支える。」
一本の道路の先には、誰かの毎日があります。
執筆
瀬村 尚央(せむら ひさお)
岩国市議会議員
Vol.20
防災は、「もしも」ではなく「いつか」の備え
災害は、起きてから考えるのでは遅い。避難。情報。道路。地域のつながり。そして、日頃からの備え。次回は、防災を「災害が起きた時だけの政策」ではなく、毎日の暮らしを守る地域づくりとして考えます。
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