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「移動できること」は、暮らしの基盤です。
Vol.19では道路。Vol.20では防災。Vol.21では地域コミュニティ。それぞれ、暮らしを支える地域の基盤について考えてきました。そして今回の公共交通も、大切な基盤の一つです。
通院。買い物。通学。仕事。友人との交流。こうした日常は、移動できることによって成り立っています。移動手段がなくなれば、外出する機会が減り、人とのつながりも失われるかもしれません。
だからこそ、公共交通は交通政策だけでなく、福祉や教育、地域づくりとも深く関係しています。
守りたいのは、バスや鉄道そのものではない。その先にある、「移動できる暮らし」です。
病院へ行ける。買い物ができる。学校へ通える。人と会える。移動できることは、暮らしの選択肢につながります。
同じ岩国でも、必要な交通は違います。
岩国市には、市街地もあれば、中山間地域や沿岸部もあります。人口の多い地域と、住宅が点在する地域では、必要な移動手段も異なります。
利用者が多い地域では、一定の便数を確保することが重要かもしれません。一方で、利用者が少ない地域では、大きなバスを決まった時間に走らせる方法が、必ずしも最適とは限りません。大切なのは、地域の実情に合った方法を考えることです。
- 鉄道・路線バス多くの人を結ぶ
- 地域の小規模交通身近な移動を支える
- 予約型交通需要に応じた移動
- タクシー等個別の移動を支える
移動できる暮らし
- 通院
- 買い物
- 通学
- 仕事
- 交流
※移動手段の例です。すべての地域で運行しているものではありません。
「何を走らせるか」ではなく、
「誰が移動できるか」。
「赤字だから廃止」でも、「何でも維持」でもない。
公共交通を考える上で、避けて通れないのが費用の問題です。利用者が減れば、運行を続けるための負担は大きくなります。運転手の確保も、全国的な課題になっています。
しかし、利用者数や収支だけで判断すれば、車を使えない人の暮らしが成り立たなくなる可能性があります。一方で、利用されていない交通手段を、何も見直さず維持し続けることも持続可能ではありません。
だから私は、「必要な移動を、どうすれば持続可能な形で確保できるか」を考えるべきだと思っています。運行経路。便数。車両の大きさ。予約方式。他の交通手段との連携。地域ごとに、工夫できることはあるはずです。
「利用者が少ない」の、その先を見る。
公共交通の利用者数は、大切な指標です。しかし、それだけでは分からないことがあります。
乗りたいけれど、バス停まで歩けない。病院の時間に合う便がない。帰りの交通手段がない。乗り方が分からない。こうした理由で、そもそも利用できていない人がいるかもしれません。だからこそ、利用している人だけでなく、利用できていない人の声も聞く必要があります。
従来の指標
- 利用者数
- 運行本数
- 収支
暮らしの成果
- 通院できる
- 買い物できる
- 通学できる
- 外出できる
「運行したか」ではなく、「移動できるようになったか」。
地域全体で、移動を支える。
公共交通を支えるには、行政だけでなく、交通事業者、地域住民、医療機関、商業施設など、さまざまな主体との連携も必要です。例えば、通院や買い物の時間に合わせた運行を考えることも、一つの方法です。
ただし、交通事業者にも、人材や経営上の制約があります。行政が一方的にサービスを求めるのではなく、現場の課題を共有しながら、持続できる仕組みを考える。そこに、行政の役割があると思っています。
私が目指す岩国
私は、すべての地域に同じ公共交通を整備すべきだとは考えていません。人口も、地形も、暮らし方も違うからです。しかし、住んでいる場所や年齢によって、移動の選択肢が極端に限られてしまう状況は、できる限り改善していきたい。
そのために、地域の声を聞き、利用実態を把握し、交通事業者と協議しながら、地域に合った移動手段を考えていく。守りたいのは、バスの路線図そのものではありません。病院へ行けること。買い物ができること。学校へ通えること。人と会えること。
そして、年齢を重ねても、住み慣れた地域で暮らし続けられること。私は、そんな暮らしを支える公共交通政策を進めたいと考えています。
今回のポイント
- 公共交通は、福祉・教育・地域づくりにも関わる暮らしの基盤
- 地域の実情に応じて、交通手段を柔軟に考える
- 利用者数や収支だけでなく、移動できない人の声も大切にする
- 交通事業者と連携し、持続可能な仕組みをつくる
- 「何を運行したか」ではなく「誰が移動できるようになったか」を見る
「守りたいのは、バスではない。その先にある、暮らしの選択肢です。」
年齢を重ねても、住み慣れた地域で暮らし続けられる岩国へ。
執筆
瀬村 尚央(せむら ひさお)
岩国市議会議員
Vol.23
人口減少時代の地域づくり
人口が減っていく中で、道路。公共施設。交通。地域活動。これまでと同じ形で、すべてを維持することは簡単ではありません。次回は、「何を残し、何を変えるのか」という視点から、持続可能な地域づくりについて考えます。
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