瀬村尚央 政策コラム Vol.22

公共交通を守る意味

車を運転できる間は、公共交通の必要性を感じにくいかもしれません。

しかし、高齢になった時。子どもが通学する時。病院や買い物へ行きたい時。車を使えない人にとって、移動手段があるかどうかは、毎日の暮らしに直結します。

私は、公共交通を「乗り物の問題」ではなく、「暮らしの選択肢を守る政策」として考えています。

瀬村尚央第4章地域への投資約4分
目次

「移動できること」は、暮らしの基盤です。

Vol.19では道路。Vol.20では防災。Vol.21では地域コミュニティ。それぞれ、暮らしを支える地域の基盤について考えてきました。そして今回の公共交通も、大切な基盤の一つです。

通院。買い物。通学。仕事。友人との交流。こうした日常は、移動できることによって成り立っています。移動手段がなくなれば、外出する機会が減り、人とのつながりも失われるかもしれません。

だからこそ、公共交通は交通政策だけでなく、福祉や教育、地域づくりとも深く関係しています。

守りたいのは、バスや鉄道そのものではない。その先にある、「移動できる暮らし」です。

病院へ行ける。買い物ができる。学校へ通える。人と会える。移動できることは、暮らしの選択肢につながります。

同じ岩国でも、必要な交通は違います。

岩国市には、市街地もあれば、中山間地域や沿岸部もあります。人口の多い地域と、住宅が点在する地域では、必要な移動手段も異なります。

利用者が多い地域では、一定の便数を確保することが重要かもしれません。一方で、利用者が少ない地域では、大きなバスを決まった時間に走らせる方法が、必ずしも最適とは限りません。大切なのは、地域の実情に合った方法を考えることです。

移動の方法は違っても、守りたい暮らしは同じ。地域に合った交通手段で、暮らしをつなぐ。
  • 鉄道・路線バス多くの人を結ぶ
  • 地域の小規模交通身近な移動を支える
  • 予約型交通需要に応じた移動
  • タクシー等個別の移動を支える

移動できる暮らし

  • 通院
  • 買い物
  • 通学
  • 仕事
  • 交流

※移動手段の例です。すべての地域で運行しているものではありません。

「何を走らせるか」ではなく、

「誰が移動できるか」。

「赤字だから廃止」でも、「何でも維持」でもない。

公共交通を考える上で、避けて通れないのが費用の問題です。利用者が減れば、運行を続けるための負担は大きくなります。運転手の確保も、全国的な課題になっています。

しかし、利用者数や収支だけで判断すれば、車を使えない人の暮らしが成り立たなくなる可能性があります。一方で、利用されていない交通手段を、何も見直さず維持し続けることも持続可能ではありません。

だから私は、「必要な移動を、どうすれば持続可能な形で確保できるか」を考えるべきだと思っています。運行経路。便数。車両の大きさ。予約方式。他の交通手段との連携。地域ごとに、工夫できることはあるはずです。

「利用者が少ない」の、その先を見る。

公共交通の利用者数は、大切な指標です。しかし、それだけでは分からないことがあります。

乗りたいけれど、バス停まで歩けない。病院の時間に合う便がない。帰りの交通手段がない。乗り方が分からない。こうした理由で、そもそも利用できていない人がいるかもしれません。だからこそ、利用している人だけでなく、利用できていない人の声も聞く必要があります。

「何人乗ったか」の、その先へ。

従来の指標

  • 利用者数
  • 運行本数
  • 収支

暮らしの成果

  • 通院できる
  • 買い物できる
  • 通学できる
  • 外出できる

「運行したか」ではなく、「移動できるようになったか」。

地域全体で、移動を支える。

公共交通を支えるには、行政だけでなく、交通事業者、地域住民、医療機関、商業施設など、さまざまな主体との連携も必要です。例えば、通院や買い物の時間に合わせた運行を考えることも、一つの方法です。

ただし、交通事業者にも、人材や経営上の制約があります。行政が一方的にサービスを求めるのではなく、現場の課題を共有しながら、持続できる仕組みを考える。そこに、行政の役割があると思っています。

私が目指す岩国

私は、すべての地域に同じ公共交通を整備すべきだとは考えていません。人口も、地形も、暮らし方も違うからです。しかし、住んでいる場所や年齢によって、移動の選択肢が極端に限られてしまう状況は、できる限り改善していきたい。

そのために、地域の声を聞き、利用実態を把握し、交通事業者と協議しながら、地域に合った移動手段を考えていく。守りたいのは、バスの路線図そのものではありません。病院へ行けること。買い物ができること。学校へ通えること。人と会えること。

そして、年齢を重ねても、住み慣れた地域で暮らし続けられること。私は、そんな暮らしを支える公共交通政策を進めたいと考えています。

今回のポイント

  • 公共交通は、福祉・教育・地域づくりにも関わる暮らしの基盤
  • 地域の実情に応じて、交通手段を柔軟に考える
  • 利用者数や収支だけでなく、移動できない人の声も大切にする
  • 交通事業者と連携し、持続可能な仕組みをつくる
  • 「何を運行したか」ではなく「誰が移動できるようになったか」を見る

「守りたいのは、バスではない。その先にある、暮らしの選択肢です。」

年齢を重ねても、住み慣れた地域で暮らし続けられる岩国へ。

執筆

瀬村 尚央(せむら ひさお)

岩国市議会議員

Vol.23

人口減少時代の地域づくり

人口が減っていく中で、道路。公共施設。交通。地域活動。これまでと同じ形で、すべてを維持することは簡単ではありません。次回は、「何を残し、何を変えるのか」という視点から、持続可能な地域づくりについて考えます。

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