目次
まちの変化は、誰かの「やってみよう」から始まる。
地域を良くするというと、行政が新しい政策をつくる。大きな施設をつくる。大規模な事業を行う。そんなイメージを持つかもしれません。
もちろん、行政にしかできないこともあります。
しかし、地域を実際に動かしているのは、行政だけではありません。
新しいお店を始める人。
会社の中で新しいサービスを考える人。
地域の困りごとを解決しようとする人。
新しい技術を取り入れる人。
地域活動を始める人。
そんな一人ひとりの挑戦も、まちを変える力になります。
最初から「地域を変えよう」と思って始めたことではないかもしれません。
「こんなものがあったらいい。」
「これをやってみたい。」
「この困りごとを何とかしたい。」
その小さな一歩から、地域の新しい価値が生まれることがあります。
まちを変える最初の一歩は、誰かの「やってみよう」かもしれない。
大きな挑戦だけが、挑戦ではありません。小さな一歩が、地域の新しい可能性につながることがあります。
挑戦は、その人だけで終わらない。
例えば、一人が新しいサービスを始める。
そのサービスを利用する人が生まれる。
仕事を手伝う人が必要になる。
別の企業との取引が生まれる。
そこから、また新しいアイデアが生まれる。
一つの挑戦が、挑戦した本人だけではなく、周囲にも影響を広げていくことがあります。
だから私は、「挑戦する人への投資」を、特定の誰かだけを応援する政策だとは考えていません。
挑戦によって生まれた価値が、仕事。サービス。人とのつながり。地域の課題解決。そして次の挑戦へと広がっていく。
その循環をつくることが、地域全体の力につながると考えています。
- やってみよう一人の挑戦
- 1新しい価値商品・サービス・活動・アイデア
- 2人がつながる仲間・利用者・企業・地域
- 3地域に変化が生まれる新しい仕事・便利なサービス・地域課題の解決・新しい選択肢
- 4次の挑戦へ
- 挑戦
- 新しい価値
- 地域への広がり
- 次の挑戦
挑戦には、失敗する可能性があります。
挑戦という言葉は、成功した時だけ語られがちです。
しかし、新しいことを始めれば、うまくいかないこともあります。
思ったほど利用されなかった。
商品が売れなかった。
計画を変更した。
一度やめた。
そうしたこともあると思います。
でも、失敗したからといって、その挑戦に意味がなかったとは限りません。
何が足りなかったのか。
何を変えればいいのか。
次はどうすればいいのか。
そこから得た経験が、次の挑戦につながることもあります。
もちろん、行政がすべての失敗を税金で補うという意味ではありません。
大切なのは、挑戦したことそのものが不利になり続ける地域にしないこと。失敗から学び、もう一度挑戦できる環境をつくることです。
うまくいった
次へ進む
うまくいかなかった
- 原因を知る
- 改善する
- もう一度挑戦する
経験が残る
次の挑戦へ
「失敗しないこと」より、「学んで次へ進めること」。
「挑戦してください」だけでは、挑戦は増えません。
行政が、「新しいことに挑戦しましょう」と呼びかけるだけでは、人は動きません。
実際に挑戦しようとすれば、何から始めればいいのか分からない。
制度が分からない。
相談先が分からない。
必要な人とつながれない。
資金面の課題がある。
手続きに時間がかかる。
さまざまな壁があります。
だから、行政の役割は、挑戦する人に代わって挑戦することではありません。
挑戦する人が、必要な情報。相談先。制度。人。企業。支援機関。そうしたものにつながりやすい環境を整えることだと考えています。
挑戦する人
- 情報
- 相談
- 制度
- 人・仲間
- 企業・支援機関
一歩を踏み出しやすくする
「支援制度をつくった」で終わらせない。
そして、挑戦を支える政策にも、成果を見る視点が必要です。
補助制度をつくった。
相談窓口をつくった。
イベントを開催した。
それだけで、政策が成功したとは言えません。
実際に利用されたのか。
必要な人に情報が届いたのか。
挑戦の一歩につながったのか。
新しい仕事やサービスにつながったのか。
利用した人は、どこで困ったのか。
そこまで確認して、制度を改善していく必要があります。
これは、第1章でお伝えしたEBPMやKPIの考え方にもつながります。
制度をつくることが目的ではなく、挑戦しやすい環境をつくることが目的です。
CHECK
- 挑戦
- 事業
- 雇用
- 地域課題の解決
- 次の挑戦
「支援した」から、「何が生まれたか」へ。
挑戦する人は、起業家だけではありません。
「挑戦する人」と聞くと、起業する人を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、起業も大切な挑戦です。
ただ、私はもっと広く考えています。
地域企業の中で、新しい商品を考える人。
業務のやり方を変える人。
デジタル技術を導入する人。
地域活動を始める人。
新しいイベントを考える人。
地域の困りごとを解決しようとする人。
岩国に帰って、これまでの経験を活かそうとする人。
それぞれの場所に、挑戦する人がいます。
だからこそ、「挑戦する人への投資」は、一部の起業家だけのための政策ではありません。
地域の中にある、さまざまな「もっと良くしたい」を応援する考え方です。
行政だけでは、まちは変えられない。
私は市議会議員として、行政に政策を提言し、地域の課題を解決することに取り組んできました。
その中で感じるのは、行政だけですべての地域課題を解決することはできないということです。
企業だからできること。
地域団体だからできること。
市民だからできること。
若い人だから思いつくこと。
長く地域にいる人だから分かること。
それぞれにあります。
行政がすべてを抱えるのではなく、地域にある力が動きやすい環境をつくる。そして、必要なところを行政が支える。
私は、これからの地域づくりには、この考え方がより重要になると思っています。
行政が、すべての答えを持つ必要はない。
地域には、企業にも、市民にも、若者にも、地域団体にも、それぞれの力があります。行政の役割は、その力を活かせる環境をつくること。
私が目指す岩国
私は、挑戦する人だけが得をする岩国をつくりたいわけではありません。
目指したいのは、挑戦する人が生み出した価値が、地域にも広がっていく岩国です。
新しい会社が生まれる。
新しい仕事が生まれる。
今ある会社が新しいことに挑戦する。
便利なサービスが生まれる。
地域の困りごとが解決される。
新しい人のつながりが生まれる。
そして、それを見た誰かが、「自分もやってみよう」と思う。
一人の挑戦が、次の挑戦を生む。
そんな循環が生まれれば、地域は少しずつ変わっていきます。
行政が地域の未来をすべてつくるのではありません。地域の中にいる人たちが、それぞれの場所で挑戦できる。
私は、その挑戦を邪魔せず、必要な時には支え、人や制度をつなぐことのできる行政を目指したいと思っています。
今回のポイント
- まちの変化は、誰かの小さな「やってみよう」から始まる
- 一人の挑戦が、仕事・サービス・人のつながりとして地域に広がることがある
- 成功した人だけでなく、一歩を踏み出せる環境をつくる
- 「挑戦する人」は起業家だけではない
- 行政の役割は挑戦を代行することではなく、人・情報・制度をつなぐこと
「行政が挑戦をつくるのではない。挑戦する人が動きやすい環境をつくる。」
一人の「やってみよう」が、岩国の新しい可能性になる。
執筆
瀬村 尚央(せむら ひさお)
岩国市議会議員
Vol.15
地域企業が元気になると、岩国は元気になる
地域企業は、仕事をつくるだけの存在ではありません。人を育てる。地域でお金を循環させる。新しい挑戦を生み出す。そして、地域の暮らしを支える。では、地域企業の成長がなぜ岩国全体の未来につながるのか。次回は、「地域企業への投資」を考えます。
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